「ことば」という英知の解読
ダン・ブラウン著『ロスト・シンボル』を読了。
- 作者: ダン・ブラウン,越前敏弥
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2010/03
- メディア: 単行本
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半身浴をしている間に読むように心がけていたが、結局、「深夜0時頃にベッドに入り、本を読み始めると、気がつけば、午前6時を回っていた」という状態になってしまった。およそ6時間もの集中力は、研究の際に働いてくれれば、進展も目覚ましいだろうと思う。
ダン・ブラウンの著作、とりわけ、いわゆるロバード・ラングドンシリーズは、人文系の学者に勇気を与えてくれる。内容そのものは、荒唐無稽な感を否めないが、「図書館や研究室に籠って、ある意味で社会と隔絶している人文系の学者が、自分の研究成果に基づいて謎を解き明かす」というシナリオは、何事も極めれば社会性を持ち得るという勇気を与えてくれると思う。
社会性は、学者にとってジレンマである。とりわけ、基礎科学や人文科学といった分野を専攻してしまうと、自身の研究が社会に対してどういう意味を持ち得るかを考えて苦悩する場面にしばしば出くわす。一方で、その研究に何らかの意義があることを知っているから、研究を中止することは難しい。私の場合、研究を投げ出さなければ、最終的に社会性を獲得できるという期待を抱くのに、ロバート・ラングドンシリーズは一役買ってくれている。『天使と悪魔』しかり、『ダビンチコード』しかり。
とりわけ、『ロスト・シンボル』で感銘を受けたのは、「ことば」が主題となっている点。特にエピローグに向かう場面が印象的に記憶された。自分の研究が、この主題を取り上げたものであることを思うと、自分の選んだ主題は、研究の進展次第で、大きな意味を持ち得るという期待を抱いた。
付言しておくと、自分の研究と、『ロスト・シンボル』の内容とは全く関係ない。ただ、「ことば」という英知を解読する意義に気づいたまでのこと。