論文の書き方マニュアル

日本語で書かれた「論文の書き方」に関する書籍は極めて少ない。同時に、質の面でも疑問が残る。学位請求論文のために、論文の体裁を気にし始めた。そのため、最近、次の書籍をよく開いている。

The Chicago Manual of Style

The Chicago Manual of Style

ひとつ問題なのは、この書籍の主な対象が、書籍(book)と学術雑誌(journal)の作り方である点(see chap. 1)。学位請求論文に関しては、略号の使用方法など学ぶべきことも多い反面、論文の構成面での説明が欲しいと思った。ひとまず、原稿(Manuscript)に関する記述(see chap. 2)を参考に、学位請求論文の構成を模索する。

次に、特に人文科学系論文を書く上で有益な情報が多い本。

MLA英語論文の手引

MLA英語論文の手引

論文作成までのアプローチ方法が参考になる。ただし、具体的な問題(略号、註、etc)は、上で紹介したThe Chicago Manual of Styleの方が情報量も多く有効だと思う。

最後に、修士論文を書く際にお世話になった本。

論文の書き方 (講談社学術文庫)

論文の書き方 (講談社学術文庫)

論文のレトリック (講談社学術文庫)

論文のレトリック (講談社学術文庫)

日本人が書いた書籍の中では、最も有効な本だと思っている。

(以下、追記)
長くフランスで研究をしてこられた方からの話。フランスでも、具体的な論文の書き方マニュアルは無く、指導教授のスタイルを真似ることで論文の書き方を学ぶらしい。日本に似ている。この方の話で最も興味深かった点は、「目次(contents)」の重要性。「目次」を如何に上手く書くかが論文の評価ポイントのひとつとして有るようだ。

確かに、学位請求論文のレベルになれば、極めて細かな議論が展開されることになる。指導教授であれば、審査以前に論文提出者とのディスカッションの中で、ある程度、その内容を知ることができるが、副査はそうはいかない。副査のためにも「目次」はしっかりと書かなければならない。自分も注意しなければならない意見だと思った。